「少女像」展示中止が波紋 そもそも「慰安婦問題」とは?
8/15(木) 9:00配信THE PAGE
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「誰が強制したか」あいまいなまま続けられる議論
 日本と国際社会の間では法的解釈のほか、「強制性」が繰り返し問題になってきましたが、これについては主語、つまり「誰が強制したか」ということをはっきりさせないまま論じられるきらいがあります。日本政府は、「旧日本軍が強制連行した」ということは、河野談話を含め一度も表明していないのに、日本の国会などで「強制性」の議論が起こるのは遺憾なことです。

 この強制性の問題は、今日の性暴力犯罪に関する議論に通じる重要な論点です。「強制する」とは、決して首に縄をつけて引きずり出すというようなことだけとは限らず、貧しさなどから甘い言葉に弄されることも自由意志ではないという点で、強制されたとみなされるようになっています。

 また、慰安婦は「性奴隷」であったと表現されることがあります。日本政府はこの表現は「事実に反し、不適切」だとして、女子差別撤廃委員会など関係機関で使用しないよう求めましたが、決着はついていません。

慰安婦問題での日本に対する国際機関の厳しい見方
 女性に対する暴力問題に取り組む国際機関は数が多く、複雑です。「国連人権理事会」、「女子差別撤廃委員会」、「拷問禁止委員会」、「強制的失踪委員会」、「自由権規約委員会」、「国際労働機関(ILO)」などで、ほぼ定期的に慰安婦問題が取り上げられます。これらの中には国連でなく、独立の条約に基づいた機関が含まれていますが、あまりに複雑になるので条約名はいちいち記さないこととします。

 これら諸機関での日本政府に対する見方については厳しいものがあります。女子差別撤廃委員会では「日本の指導者や公職にある者が、慰安婦問題に対する責任を過小評価し、被害者を再び傷つけるような発言はやめるよう」と異例の勧告が行われたこともあります。

 また、慰安婦問題については、韓国など被害者が出た国だけでなく、多数の国が関心を持ち、日本の対応を見守っています。

 欧米諸国では、2007年に米(下院外交委員会)、オランダ、カナダの議会や欧州議会でも慰安婦問題に関して日本政府に対し謝罪を求める決議が採択されました。このような決議が相次いだのは、安倍首相による「強制性」に関する発言(特に2006年10月6日の衆議院予算委員会での「強制性については事実を裏づけるものは出てきていなかったのではないか」など)がきっかけであったといわれています。

 日本では多数の国際機関の動向をフォローするのが困難であり、必ずしも逐一報道されることもないので、日本国内と国際社会との間でかなりの温度差がありますが、国際社会の動向には細心の注意が必要です。

 韓国の運動家はこれら諸機関を巧みに利用し、時には強引に働きかけており、さらに、国際機関の意見を日韓間に持ち込んで彼らの主張の強化に努めています。