慰安婦問題で国連総長「日韓合意で解決すべき」 — 2017年5月30日

慰安婦問題で国連総長「日韓合意で解決すべき」

慰安婦問題で国連総長「日韓合意で解決すべき」
2017年05月29日 11時17分
【ニューヨーク=橋本潤也】国連のグテレス事務総長は28日、イタリア・タオルミーナで行った安倍首相との27日の会談で、慰安婦問題について「日韓間の合意に基づき解決されるべきだとの認識に同意した」とするコメントを発表した。

ドゥジャリク事務総長報道官を通じて明らかにした。

2015年末に慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意を巡っては、国連の拷問禁止委員会が「被害者に対する名誉回復や補償、再発防止が十分ではない」などとして見直しを勧告する報告書を公表し、日本政府が反論している。

コメントによると、グテレス氏は会談で合意の中身には触れず、「問題の性質や解決方法を決めるのは、日韓両国に委ねられているとの立場だ」と説明している。日本政府は会談後、首相が日韓合意の重要性を訴え、グテレス氏が合意に賛意を示したと説明していた。

2017年05月29日 11時17分 Yomiuri Shimbun

http://www.yomiuri.co.jp/world/20170529-OYT1T50048.html

和田春樹 日韓合意1年「差別意識」 — 2017年5月25日

和田春樹 日韓合意1年「差別意識」

そこが聞きたい

慰安婦問題 日韓合意1年 元アジア女性基金専務理事・和田春樹氏

毎日新聞2016年12月28日 毎日東京朝刊 https://mainichi.jp/articles/20161228/ddm/004/070/021000c

残された差別意識の克服
慰安婦問題を巡る日韓合意=1=から28日で1年を迎える。歴史的意味をどう考えるか。朴槿恵(パククネ)大統領が弾劾訴追された影響はどう出るのか。慰安婦問題とは何だったのか。アジア女性基金=2=の専務理事を務めた歴史学者、和田春樹氏(78)に聞く。【聞き手・岸俊光、写真・中村藍】

--合意をどう評価しますか。

安倍晋三首相は朴大統領の要望に応え、解決を図ることはないのではないかという観測がありました。合意はみなを驚かせたわけです。私は最初、唐突な印象を持ちました。関係者の意見を聞いて出されたものではないし、首相同士ではなく、外相間の合意になっていました。これが待ち望んでいた回答か、と疑問を感じたのです。韓国が日本大使館前の少女像問題の解決に努力すると約束したことはある程度予想していましたが、韓国では強い反発が起きました。最終的かつ不可逆的な解決が強調された意味も気にかかりました。

そうではあっても、合意を拒絶すべきだとは考えませんでした。日本のアジア女性基金に強い抵抗があり、償いを受け入れない被害者が多数を占める中でたどりついた新しい合意ですからね。千数百回に及ぶ韓国市民のデモもありました。日本政府が謝罪し、10億円を差し出すのを基本として、被害者に受け入れてもらうためにもう一歩の努力が必要だと思ったのです。私は、大使がおわびの手紙を持って被害者を訪ねるよう提言しましたが、実現しませんでした。

--韓国の市民団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)などが合意前に、日本政府及び軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し、管理・統制したと認め、公式に謝罪することなどを要求しました。

この提案が求めたのは、慰安婦問題とは何かという事実認識をはっきりさせ、謝罪することです。そのうえで日本政府に謝罪の証しとして賠償してほしい、と。アジア女性基金が届けた歴代4人の首相(橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎の各氏)のおわびの手紙にも、歴史認識の部分は入っていませんでした。安倍首相の謝罪はどうなるだろうと考え、私は「日本軍の慰安所等に集められ、将兵に性的な奉仕を強いられた女性たち」というアジア女性基金の慰安婦の定義を入れれば提案に応えることになると思い、昨年末に挺対協に提示してみました。簡単すぎるという反応でしたし、結局そういう文言も入りませんでした。しかし、合意の前提には一定の歴史認識があるのです。河野談話や、アジア女性基金の考え方がこのたびの謝罪の前提です。

--合意を実現した朴大統領の手腕をどう見ますか。

朴氏がなぜこの問題に固執したのかは分かりません。でも、決定的な役割を果たしたと言えるし、日韓関係史上の特筆すべき出来事だと思います。前任の李明博(イミョンバク)大統領も(慰安婦問題に関する韓国政府の不作為を違憲と判断した2011年8月の)韓国憲法裁判所の判決を受け、日本と強引な交渉をして竹島訪問という挙に出ました。朴氏はそれ以上に、あくまで問題の解決を図る、応じなければ日韓首脳会談は行わないという強硬な姿勢でした。女性大統領として、ぜひ達成したいと思って行動したのではないかと想像します。

金大中(キムデジュン)氏も金泳三(キムヨンサム)氏も盧武鉉(ノムヒョン)氏も盧泰愚(ノテウ)氏も、歴代の韓国大統領は日本に正面から慰安婦問題を解決してほしいとは言わなかったのです。この問題は、挺対協、被害者と、日本政府、アジア女性基金の対立でした。李氏と朴氏はそこから転じ、大統領が主体となって交渉しました。朴氏は米国の支持も取り付けました。15年の日中韓サミットでは、歴史問題で日本に批判的な「中国カード」も使いました。そのうえで日韓首脳会談で安倍首相に答えを迫ったのです。思い起こすのは、日韓新時代を共同宣言した金大中氏の時に、慰安婦問題での対立を超える努力をしてもらえなかったことです。日本国民の償いの意思をくんでほしいと食い下がったのですが。

--朴氏の友人による国政介入事件の影響は?

韓国では、朴氏に反対する人たちは、合意を白紙撤回して、次の大統領が交渉をやり直すよう主張しています。しかし、合意を批判することはできても、やり直しは不可能です。日本政府は10億円を拠出し、韓国側が被害者に届けてしまったのですからね。今となってみれば、朴氏が大統領の職を務めるには無理があったかもしれません。残された課題は、新しい大統領が朴氏がやった合意の上に立って大きな立場で整理していくのが望ましい。慰安婦問題はまだ韓国以外の国との間で残っています。韓国の被害者に10億円を出したのなら、基金が何もしていない北朝鮮、中国、東ティモールに何かすべきです。

韓国政府が設けた「和解・癒やし財団」には--私は韓国語でより意味が重い「和解・治癒財団」と呼びますが--生存する被害者に現金の支給を終え、遺族にも支給したうえで、残ったお金をどうするかを説明してほしいですね。慰霊碑を建てることが最後の問題になると考えます。碑文について日韓が合意すべきです。慰霊碑で韓国国内の合意ができれば少女像の問題も解決されるでしょう。

--振り返って慰安婦問題とは何だったのでしょうか。

慰安婦問題を議論するのは難しい。話すこと自体がはばかられるような問題です。この間、法的な責任論で全てを押し切ろうという主張がありました。それはやはり無理があった。アジア女性基金が道義的責任論を掲げ、日本による戦争の被害者に贖罪(しょくざい)事業を行ったことは意味があると思います。根本的には個人の問題だし、国民同士の感情の問題でもある。普遍性のある議論だったのです。フランスなどで今日、イスラム系の元植民地出身者がテロリストになる深刻な事態が起きています。そうした問題ともつながります。近代の負の遺産である差別意識をどう克服するかという人類史的な課題です。慰安婦問題は、これで一応の決着をみました。しかし、植民地支配や戦争責任の問題は今後も長く残っていくと思います。

聞いて一言
日韓合意が被害者に届くことを願い、1年前に「傷癒やす真の解決を」という記事を書いた。十数年、この難問を取材して感じるのは、国と国とが手を携える難しさだ。アジア女性基金の償い事業には韓国が強く反発した。民主党政権下の交渉は指導者の息が合わなかった。いま韓国政界の混乱に接すると、戦後70年は唯一の機会だったように思える。アジア女性基金をはじめとする努力は、他に類を見ない貴重な経験である。そこから学び、この合意を生かさなければならない。

■ことば

1 日韓両政府の合意
日本政府は、当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた慰安婦問題の責任を痛感▽安倍首相は全ての元慰安婦に心からおわびと反省を表明▽韓国政府が元慰安婦を支援する財団を設け、日本政府の予算で10億円程度を拠出▽問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認。両国とも互いの非難や批判を控える▽韓国は日本大使館前の少女像について適切に解決されるよう努力。

2 アジア女性基金
河野談話に基づき、村山富市内閣が1995年7月に設立。2007年3月解散した。和田氏が新著「アジア女性基金と慰安婦問題 回想と検証」(明石書店)で明らかにした償い事業などの詳細は、寄付金収入5億6535万5469円、政府補助金34億8431万2000円、政府拠出金13億3059万2497円。一方、償い金5億7008万5616円、医療福祉11億5144万522円。

■人物略歴

わだ・はるき
1938年生まれ。東京大名誉教授(ロシア史、現代朝鮮)。2010年に韓国・全南大から人権と民主主義への貢献を評価され、金大中学術賞を授けられる。95年アジア女性基金呼びかけ人、97年運営審議会委員、00年理事、05年専務理事。

上海慰安婦像と博物館 — 2017年5月21日

上海慰安婦像と博物館

上海に設置された慰安婦像と開館した「慰安婦」歴史博物館を訪ねた
2016.12.17 16:00

上海師範大学内に設置された慰安婦像
10月22日、上海に慰安婦像が設置された。中韓の芸術家らが寄贈したものだ。同日、「中国“慰安婦”歴史博物館」も開館した。慰安婦問題を終わらせない“中韓共闘”の現場をジャーナリストの西谷格氏が訪れた。

* * *
上海市の中心部から真新しい地下鉄に乗って約15分、周囲を住宅や公園に囲まれた上海師範大学のキャンパス内に足を踏み入れ、目指す銅像を探した。少し歩くと、手入れされた芝生の先に、ブロンズ像の少女の姿が見えた。

近づいて観察してみる。チマ・チョゴリを着用したおかっぱ頭の少女と、チャイナ服のような漢服に身を包んだ少女が二人、姉妹のように並んで椅子に腰掛け、険しい表情でまっすぐ前を見つめている。古風な顔立ちの“朝鮮人慰安婦”に対し、“中国人慰安婦”はぱっちり二重の今風の美少女。ひざの上には花束が置かれ、像は静かに佇んでいた。

しばらくすると、学生と思しき男性2人が像の前に現れた。耳をそば立てて話し声を聞くと、韓国語をしゃべっている。2人は像の足元にある石板に目を落とし、その内容を読み上げた。石板には中国語、英語、韓国語、そして日本語の4か国語でメッセージが書かれている。

「『慰安婦』制度とは、1932年から1945年の間、日本政府が日本軍に軍事的性奴隷を配置することである」

という書き出しから始まる説明文は、

「加害者からの謝罪及び弁償が無かった被害者たちを慰めるために、ここに中国と韓国の『慰安婦』平和少女像を設立する」

との文言で締めくくられている。

男性2人は苦々しそうに韓国語と英語で声に出して朗読すると、1人がおもむろに像の前に立って両手を組み、頭を垂れた。黙祷しているのだ。

像の裏側に回り込むと、もう一つ小さな石板を発見した。

「We can forgive, but we can never forget」

我々は許すことはできるが、決して忘れることはできない。本当に許す気があるのだろうか、などと思ってしまうのは邪推だろうか。

像の近くの建物2階にある「中国“慰安婦”歴史博物館」に向かった。来館者名簿に氏名を記入し館内に足を運ぶと、「受害者肖像 VICTIMS」と書かれた大型パネルに、無数の元慰安婦とされる人々の顔写真が散りばめられている。これが事実か否かという以前に、見る者のハートに「かわいそうな女性たち」というイメージが伝わってくる仕掛けになっている。

続いて展示物の冒頭に掲げられている「前言」に目を転じると、

「日本の軍国主義者は第二次世界大戦の際、本土を遠く離れていた旧日本軍のために、日本人女性のほか、騙したり、拉致したり、力ずくなどの手段で中国、朝鮮半島、東南アジアなどのアジア各地から徴用した大量の若い女性を性の奴隷として充当し、完全なる『従軍慰安婦』の制度を創立した」

「数千年の人類史上で第2例を見ることのないファシズムが行った女性に対する集団的な使役と虐待であり、日本の軍国主義の野蛮さ、残忍さと暴虐さを体現している」

などの激しい文言が並んでいる。しかし、日本軍が「拉致」や「力ずく」で慰安婦を集めたという証拠はない。館内はこの前言のほか、随所で日本語の案内も用意されていた。

館内はパネル展示と元慰安婦たちの遺品の展示が中心で、広さは20m四方ほどだろうか。1時間程度で周れる分量だ。

パネルでは慰安婦制度の成立の経緯や、上海市内に存在したという慰安所リスト、慰安所で働いていた雑役係や慰安婦の証言などが写真付きで展示されている。上海市内には「大一サロン」、「三好館」、「小松亭」など日本軍が設置した慰安所が170か所も存在したと書かれているが、いやいや、民間人が経営していたバーや風俗店も少なからず含まれているだろう。

しばらく進むと「中国における日本軍の慰安所分布図」という大きな地図が展示されていた。中国大陸にこれだけ大量の慰安所が設置されていたと示すものだ。博物館の冒頭で「中国人慰安婦20万人、世界の慰安婦40万人」と主張していたので、それを裏付けたいのだろう。

地図を見ると、領土問題が起きている西沙・南沙諸島も中国領土に組み込まれており、宣伝に抜かりがない。地図の東端には「釣魚島」の三文字もあった。

※SAPIO2017年1月号

http://www.webcitation.org/6qccpuDa7

http://www.webcitation.org/6qccraMqJ

上海慰安婦像に日本政府が圧力 —

上海慰安婦像に日本政府が圧力

[インタビュー]「上海の『韓中平和の少女像』も日本の圧力によって撤去の危機」
登録 : 2016.11.25 00:33修正 : 2016.11.25 07:00 ハンギョレ日本

中国慰安婦問題研究センターのユン・ミョンスク博士

「先月、韓国と中国そして米国、ドイツの市民社会の協力で中国上海師範大学の校庭に建てられた『韓中平和の少女像』が、日本政府の執拗な撤去要求に悩まされている。上海市当局は少女像の撤去または室内への移転を求め圧迫している。少女像の設置を主導した上海師範大学の蘇智良教授と中国慰安婦問題研究センターや学生などが日本と中国当局を批判し抗議しているが、このまま行けば室内移転の結論が出る可能性が高い」
9月から中国慰安婦問題研究センター(所長・蘇智良)の客員研究員として上海に滞在しているユン・ミョンスク博士(55)は「少女像の室内移転はすなわち日本に屈服することであるため、少女像の建立に参加した京畿道華城市(ファソンシ)など韓国の市民社会もこれを守る運動を応援してくれるよう願う」と伝えた。

日本の一橋大学での博士学位論文を基に書いた「朝鮮人軍慰安婦と日本軍慰安所制度」(訳チェ・ミンスン、而学社出版)でよく知られたユン氏は、講演のためにしばらく帰国した22日、ウィチャットなどのSNSを通じて少女像を守るための世論が広がっていると伝えた。

上海師範大学東部キャンパスの芝生に、伝統的な服装の「韓中平和の少女像」が並んで建てられたのは10月22日。米国、カナダ、オーストラリアに続き、海外で5番目に作られたこの少女像は、韓中少女像建立推進委員会と第2次世界大戦歴史保存連合会、そして華城市や上海師範大学が「日本軍慰安婦被害者の名誉と人権回復のために」力を出し合って建てた。昨年、ソウル城北区(ソンブクク)東小門洞(トンソムンドン)に作られた「韓中平和の少女像」と同じ作品であり、韓国人少女像はキム・ウンソン、キム・ソギョン作家夫婦が、中国人少女像は中国清華大学美術学部の潘毅群教授(55)が制作した。韓国側の少女像建立推進委が市民の募金で3000万ウォン(約287万円)を制作費として拠出した。

韓中が力を合わせ上海師範大学に建てる
日本側は、10月の除幕式前日から攻勢 最近中国当局も「室内移転」を要求

「寄付金集めてくれた韓国市民社会にも持ち分」
蘇智良教授らは「守る人々」の支援を期待

日本側の露骨な撤去圧力は、少女像の除幕式前日から始まったとユン博士は伝えた。「10月21日午後4時頃、上海の日本総領事館から蘇智良教授に直接電話があり、設置しないでほしいと要請された。上海には日本企業も多いので両国の交流協力にも良くないという趣旨の話もされた」。蘇教授は「何も返事をしなかった」という。

蘇教授は1993年頃から慰安婦問題を調査し、研究書籍も出してきた。「蘇教授は中国人慰安婦(中国居住の朝鮮出身者慰安婦を含む)の口述調査もかなり行い、民間人から寄付金を集め、毎月被害者と確認された方々に生活費の支援もしている」とユン博士は伝えた。

現地と日本のメディア報道を総合すると、10月22日午前に少女像の除幕式が開かれると、その日の午後日本の外務省が東京の中国大使館に少女像の撤去を要請し、中国の日本総領事館も上海師範大学に少女像の撤去を要請する電話をかけた。その後から中国政府側の圧力がさまざまな経路を通じて入ってきた。「22日午後から中国外交部は上海市人民政府の外事事務所に連絡し、上海市人民政府はまた上海市教育委員会に、そして上海市教育委員会は上海師範大学に連絡をした。最初は少女像に幕をかぶせて人目につかないようにするよう言った。しかしすぐに要求内容が少女像の撤去に変わった。その後、11月10日頃からは再び少女像を博物館内部に移動させよという要求に変わった」

これに反発した中国人たちの要求で、中国外交部はブリーフィングを通じて強硬な態度で繰り返し原則的な立場を明らかにしている。「しかし実際には、中国当局の公式な対外反応と内部の対応は異なり、二重的だ」

「中国慰安婦問題研究センターは、少女像の移転を拒否している。しかし、(中国)政府の圧力が日増しに強まっている。上海師範大学は少女像の設置を許可してくれたが、当局の圧力にどれくらい持ち堪えることができるかわからない」

ユン氏は「日本軍慰安婦問題は、日本という国家が犯した歴史的な犯罪事件だが、今再び国家が民間の少女像設置事業に関与して撤去ないしは移転を強制するのは容認できない」と話した。

彼女はもともと少女像の建立に対して単純に歓迎した人ではない。「少女像は韓国で慰安婦被害者を10代の少女だけに限定し、イメージを固定化させるため、無条件には賛成しなかった。少女のイメージがあまりに強烈に家父長的純潔イデオロギーと結びついているためだ。慰安婦問題の被害者が少女にのみ限られていたわけでもない」。だからといって彼女は歴史を記憶する造形物自体を否定しているわけではない。彼女は特に、韓日間の12・28合意により韓国では打撃が大きかったが、いままさにその問題に本格的に対処し始めた中国は違うとし、「中国では今が重要だ」と話した。「少女像建立が中国で日本軍慰安婦問題を正しく浮き彫りにすることに重要な役割を果たせると考えている。議論の拡大再生産に肯定的な影響を続けてほしい」

昨年9月から4カ月間上海に滞在したユン氏は、今年に入って9月から来年8月末まで1年間の予定で蘇教授の研究センターに滞在し、浙江省の日本軍慰安婦の現地調査に参加するなど、研究活動を続けている。1932年に日本海軍の陸戦隊が駐屯した上海は、日本軍慰安所が最初に設置されたところであり、今も日本海軍の慰安所だった建物が残っており、博物館として再建する事業が進められている。

今回の訪問中に彼女は漫画家のキム・クムスクさんと一緒に、中国に残った唯一の韓国国籍の慰安婦被害者で墜落事故で韓国の病院で治療を受けているハ・ソンスクさん(88)を訪ねて慰問し、看病中の末娘に中国の生徒たちが書いた応援メッセージを伝えるなどした。

ハン・スンドン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-11-24 21:53

https://web.archive.org/web/20170521090954/http://japan.hani.co.kr/arti/culture/25759.html

http://www.webcitation.org/6qcbzsCTf

中韓慰安婦像と中国政府 —

中韓慰安婦像と中国政府

「チマチョゴリの少女」と「お下げ髪の少女」
これから中韓典同の慰安婦像が次々に設置される

福島香織

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11月、ソウルで行われた日韓首脳会談で、慰安婦問題については「早期妥結」のために協議を加速することで合意した。この問題が今蒸し返されているのは、中国の援護射撃の効果が大きい。習近平政権発足以降、中国は歴史問題で韓国と対日共闘を急速に進め、日本への政治力-ドに利用している。日本を。”非道な悪魔”のように喧伝し、安倍政権の封じ込めに出る戦法だ。

日中韓首脳会談を控えた10月28日、ソウル市城北区の公園に、チマチョゴリ姿の少女とお下げ髪をした中国式学生服姿の少女2体の「慰安婦像」が設置された。中国人少女の像は中国系米国人の映画プロデューサー史詠氏と清華大学美術学院の瀋毅群教授らが共同でデザイン。新華社は同日、これらを最初の「中韓共同の慰安婦像」と報じた。2016年には上海にも同じものができるという。「『慰安婦』問題は中韓共同の歴史の傷跡」であり、「中韓両政府と民間団体が『慰安婦』問題の解決のためにたゆまぬ努力を続け、日本に早期に強制慰安婦の存在を認めさせ、謝罪させようとしている」と新華社電は伝えている。

その2日後の10月30日、韓国紙・朝鮮日報に中国の李克強首相が「中韓友好の千秋の歴史物語をさらに書き続けよう」と題した署名原稿を寄稿。「歴史の大河の中、我々はお互い運命共同体であり、栄辱を共にしてきた。・・・共同の歴史を明記し平和を守り、各国人民のために素晴らしい未来を切り開こう」と訴えた。日本という国名は出していないが、。対日歴史戦口における共闘の呼びかけであることは疑いようがない。

慰安婦問題で中韓共同訴訟を準備中

中韓の対日共闘歩調は2014年ごろから顕著になってきた。

14年1月、中国は黒竜江省ハルビン駅構内に伊藤博文を暗殺した朝鮮の独立運動家・安重根に関する「安重根義士記念館」を開設。韓国政府が安重根を顕彰するよう求めたのは06年だが、当時の胡錦濤政権はほとんど取り合わなかった。それが13年6月に朴槿恵韓国大統領が習主席に再度提案すると、その半年後には記念館が作られた。

民間の連携も進んでいる。14年4月には第二次大戦下に強制運行された中国の元労働者および遺族149人が日本の三菱マテリアルに対し、総額2・27億元(38億円相当)の賠償金を求める訴訟を河北省で起こしたが、このとき、韓国の強制連行被害者の遺族代表と弁護士が中国の原告団とともに現地での追悼集会に参加している。15年夏には三菱マテリアル側か1人10万元(200万円相当)の賠償金を3700人以上の元労働者および遺族に支払う和解案で一応の合意を見た。

そして今は、慰安婦問題が”中韓共闘歴史戦”の主軸だ。

14年2月、上海師範大学中国慰安婦問題研究センターと韓国の成均館大学東アジア歴史研究所が合同でアジア”慰安婦”工作会議を上海市で開催、共同で国際的慰安婦研究を深めていくことを宣言。両国それぞれが慰安婦歴史資料を国連の世界記憶遺産に申請していく準備を進めた。

15年に中国が「南京大虐殺公文書」とともに申請。「南京・・・」は登録されたが「慰安婦」については落選した。中国側報道官は「ユネスコ国際諮問委員会から他の被害国との共同申請を勧められ、17年に改めて審査するとの説明があった」とし、韓国との共同申請に切り替える方針を示した。

一方、この7月から中韓の元慰安婦による初の共同対日賠償訴訟の準備が進められている。中国で最初に慰安婦の存在を明らかにし、支援を訴えてきた元教師・張双兵氏は8月、元慰安婦の子供たちとともにソウルに飛び、中韓研究者・法律家のシンポジウム
にも参加した。

政治利用される元慰安婦

このように官民あげて慰安婦共闘戦線を敷いている中韓だが、実はこの慰安婦問題は中国では21世紀になるまでタブー視されてきた。

今夏、在日中国人映画監督の班忠義氏が「元慰安婦」ら約80人の人生や証言を20年にわたり記録したドキュメンタリー映画「太陽がほしい」が完成。日本各地で上映され始めた。この映画の中で、「元慰安婦」らは中国政府への強い不満も口にしている。

山西省などの農村部にあった旧日本車の駐屯地で、若い娘が「慰安婦」として徴用されたり、湖北省武漢で編されて慰安所で強制的に働かされたりした事実は確かにあった。だが、心と体に深い傷を負った彼女たちは戦後約50年、共産党体制の下で「日本兵士に汚された女性」「敵と寝た女」として、ひどい差別と虐待を受け、息をひそめるように生きて来た。

中国の「慰安婦」の存在が初めて公にされたのは1992年。山西省孟県で戦争当時、中国共産党の少女幹部だった万愛花さんが日本車による性暴力被害を訴えたのが始まりだ。だがこの時、中国当局は彼女らを支援した前出・張氏や童増氏(中国民間対日賠償請求連合会会長)ら民間の市民運動家たちを弾圧、張氏も童氏も公職を失った。

天安門事件後の当時、国際社会から経済制裁を受け苦境に立たされていた中国に対し、日本はいち早く制裁を解除した。「そんな日本との関係を悪化させたくない」という政治的理由から、元慰安婦の存在は抹殺された。この時、国家と中国社会に虐げられ貧困のどん底にいた元慰安婦たちを支援し、聞き取り調査を行い、日本に招いて東京地裁に提訴させるため、物心ともに支援したのは日本の人権派弁護士や研究者、フェミニストたちである。

それが一転し、今や中国政府は慰安婦たちをメディアに登場させ、日本に圧力をかける外交カードとして利用しているのだ。班監督は言う。
「元慰安婦たちは昔も今も中国の政治的理由で翻弄されてきた。今も私の撮ったこの映画は中国ではそのままは上映できないだろうし、一見味方のように見える政府も、慰安婦支援の市民運動が中国に広がればきっと弾圧に転じる。中国の政府と民間は断絶している」
さらに班監督は、元慰安婦たちの救済と支援について「中国政府に求めるよりも日本政府や日本人の善意に頼る方が希望がある」と本音を吐露した。

中国政府は歴史カードによって日本を”悪魔化”するが、その歴史を実体験してきた中国人は、本当の悪魔がどこにいるのかを知っている。

未だ傷の癒えない戦時性暴力被害者の女性たちを長年虐げた末、政治カードで利用している中国政府の方がよほど本物の”妖魔”ではないか。

SAPIO 2016.1 p.14-15

徴用・徴兵経験者たちとその遺族(崔 碩栄) —

徴用・徴兵経験者たちとその遺族(崔 碩栄)

韓国が「反日国家」である本当の理由 p125-130

徴用・徴兵経験者たちとその遺族

韓国政府が徴兵、徴用経験者に支給する「慰労金」の存在
韓国政府は日本統治期の徴用、徴兵被害者に対して日本政府が対応すべきだと主張するが、日本政府は↓965年の日韓会談と韓国側に渡した8億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドル)の支援金て責任は終わり、個人に対する補償は韓国政府の責任だと主張する。
1965年以後、日本側で支援団体や機構を作って韓国の被害者たちに補償を行った例はあるが、それは「人道的な面での支援」であって、国家としての「義務」や「責任」を果たすという意味において行われたものではない。
21世紀に入り韓国政府は日本統治期に徴用、徴兵された人たちに「慰労金」の名目で事実上の「補償」を開始した。これは被害者本人のみならず、被害者が死亡している場合は被害者の親戚、子孫も補償金もしくは慰労金を申請できる制度だ。
ここで国務総理室傘下「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者支援委員会」が告知している内容(下図)を見てみると1938~

対象 1938年4月1日~1945年8月15日の間に日本により軍人、軍属、労務者として動員され、その期間中もしくは帰国する途中で死亡、行方不明、負傷の被害にあった人、またその遺族

金額 死亡2千万ウォン、負傷3百~2千万ウォン

遺族の範囲 ①配偶者および子女②親 ③孫④兄弟(甥を除く)

対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者支援委員会の慰労金支給基準

~1945年の問軍人、軍属もしくは労務者として海外へ「動員」された人の中で死亡、もしくは怪我をした人は韓国政府へ「慰労金」を請求できるようになっている。
この基準についてもいくつかの疑問が湧いてくる。日本軍へ入隊した人すべてを「日本の強制」による被害者であるかのように説明する韓国政府の意図が見えてくるのだが、どうにも強引すぎるのだ。
朝鮮人を対象にする国民徴用令が適用された1944年以前に動員された「志願兵」が含まれている点を考えてみたい。以下は韓国の雑誌に紹介された朝鮮人志願兵に対する記述である。

1940年2月、日本軍は朝鮮で「朝鮮特別志願兵」を公募した。志願兵は職業軍人のようなもの。この制度は1938年に始まったが志願して日本軍になる点が強制徴兵と違った。小学校卒業以上の学歴なら誰でも志願可能で、毎年数百人の朝鮮人がこの制度を通して日本軍人になった。1940年2月には募集定員3000人に対し、なんと8万4000人の朝鮮人が志願兵に志望した。
(「月刊新東亜」2004年9月号)

記事によれば、1940年の場合3000人募集に対し、8万4000人が志願したとしている。ここで採用された3000人は、果たして「強制動員」といえるのだろうか。8万人以上の不合格者、すなわち希望しても日本軍人になれなかった人々の存在をどう説明しようというのか。戦没者は「戦争被害者」ではあるかもしれないが、1940年に28:1の倍率をくぐりぬけ採用された3000人の朝鮮人兵士を「強制動員被害者」と見ることには違和感を覚える。
おそらく韓国政府としては1938年の志願者も「強制動員」にしたかったのだろう。多くの韓国人が志願して日本軍に入隊したことは認めたくない事実だし、戦争被害を訴える韓国側の都合も悪くなるからだ。
そして、難関を突破して志願兵に合格した人の子孫も「志願」ではなく、「強制動員」されたと主張するだろう。なぜなら「慰労金」は強制動員された大の子孫に支給されるものだからだ。やはり日本は「強制」した存在でなければならない。

1973年に「弟」となった他人が、1945年に失踪した「兄」の慰労金を受け取る

本当の被害者でありながらも、生前にもらうべき補償をもらえなかった人に遺族がいるなら代わりに補償金を与えても良いだろう。しかし、何の血の繋がりもない人でも「養子」もしくは「義兄弟」になることで、お金をもらえるという判例が存在する。これが果たして正当な判断だろうか。こうなると金目当ての「養子」や「義兄弟」が現れるかもしれない。韓国政府にそれを防ぐ対策はあるのだろうか。
日本統治期の経験者たちが亡くなっても、その子孫たちに「市民団体」は近づく。子孫も補償金を申請できると。実際、ある子孫たちが韓国政府から補償金や慰労金を受領したとのニュース、受領できるようになるとの報道に多くの人々は期待を寄せる。

2011年4月5日韓国のある新聞に徴用被害者に対して韓国政府が「慰労金」名目で支給する金を「弟」が代わりに受領できるようになったとの記事が載った。記事によるとN氏は自分の「兄」が1944年日本により軍人として動員されたまま行方不明になったと韓国政府に遺族慰労金を申請した。しかし、韓国政府は申請者が、「兄」が行方不明になってから約30年後の1973年、行方不明になった兵士(兄)の親と養子関係を結ぶことにより、「兄」の「死後」に兄弟関係になった人物であることを理由に支払いを拒否してきたという。地方裁判所、高等裁判所共に「死後に兄弟関係になった人が、犠牲者の死亡による苦痛を経験したとは考えられない」という理由で棄却したのだ。

しかし、これが最高裁判所へ行ってひっくり返った。戦没者と血のつながりがない人でも「遺族」と認められ、「受領者」になり得るとの判決が出たのだ。こうなると、数千、数万の新たな「遺族」、「受領者」が発生しかねないと思うのだがこの判決に問題はないのだろうか。

また、国務総理室傘下「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者支援委員会」のホームページの「よくある質問(FAQ)」には「強制動員の事実を証明できる書類、記録がない場合の申請方法」が書いてある。「隣友保証書」を添付すればできるという。「隣友保証書」とは家族以外の人が被害内容を具体的に記した陳述書である。つまり、近所の人が「文書」で強制動員事実を保証さえすれば、慰労金を申請できるということだ。

これと同じケースの詐欺事件は既に問題になったことがある。1980年に起きた光州事件(韓国軍警とデモ隊が衝突し100人以上が死亡した事件}の被害者を名乗る人の中に「隣友保証書」を悪用し、何千万ウォンもの補償金を受け取った事例が何件も摘発されたのである。しかし、これはごく一部の例に過ぎない可能性が高い。実際に隣友保証書を悪用した人がどれくらいいるのかは把握されていない。

日本統治期の強制動員被害者の申告を受け付けた結果、被害届を出した全18万5524件の中から被害者として認められたのは18万3583件。申請者の98・9%が慰労金を受け取れる被害者として認定されたという。

その中で「隣友保証書」を持って被害者として認められた件数がどれくらいかはわからないが、前述した市民団体による詐欺事件で80%が嘘の被害者だったことを思えば不信を感じるような高い割合だと思うのは、私の邪推だろうか。

ところで、徴用・徴兵経験者と遺族は、それが「志願」によるものだったとしても公の場ではそれをいわない。「日本による動員」もしくは「強制動員」と表現せざるを得ないのだ。

「採用者(徴用者)たちは歓喜に溢れ、船内では全員歌舞に耽って、元気旺盛そのものであり、手稲鉱業所への就業後も、休祭日は自由に札幌市内に繰り出し、ショッピングはもとより銭函湾での船遊びまで楽しんだ」というのは1939年に徴用された人の証言であるが、このような証言をしたばっかりに「慰労金」を支給しないなどと言われようものなら大変なことになる。「慰労金」を受給するためにも自分たちは被害者であり続けなければならない。

植村隆の辺野古座り込み —

植村隆の辺野古座り込み

慰安婦「植村隆」の新たな食い扶持は辺野古座り込み

週刊新潮2017.3.2  p42-p43

まさかと言うべきか、やはりと言うべきか。慰安婦誤報の元凶の1人にして未だ無反省の元朝日記者、植村隆氏(58)が「辺野古座り込み」集会に参加した。今度は沖縄基地問題に食指が動いているようだが、その論理、メチャクチャです。

その「招かれざる人物」が沖縄を訪れたのは2月頭のこと。「沖縄講演ツアー」と題し約一週間、大学での講義や書店サイン会、懇話会などをこなしたのである。
慰安婦問題に詳しいジャーナリストが言う。
「ハイライトは2月3日、辺野古のキャンプシュワブのゲート前での”激励”です。植村さんは、基地を前に、そこに座り込む30人ほどに向かってスピーチをぶちました」
ここで植村氏は、
「未だに戦前のような朝鮮人や沖縄人などへの差別があると思う!」
「武力では世界を支配できない時代。信頼関係の構築で解決を図るべきだ!」
「沖縄ヘイトや慰安婦を否定する勢力には絶対に負けない。みなさんと連帯して戦う!」
などとアジを飛ばした。
自己陶酔してしまったのか、その後の2月10日には、帰宅した札幌で「報告集会」を開催。沖縄ツアーを「目覚めへの旅」とした上で。
「日本の歪みが最もよく見える沖縄の立ち位置を再認識した!」

「札幌、韓国、沖縄を結ぶ三角形から、中心の東京を包囲したい!」
とまで述べたというのだ。

反体制活動家

戦前の朝鮮、沖縄と同じ差別が未だ「ある」とは、「事実」を見るべき記者としての能力の低さを証明しているし、「信頼関係」で国際問題が解決できるとは、いまどき、中学生でも口に出さないお気楽平和主義。どのように「目覚め」ても「連帯」しても結構だが、誰がどう見たって、両問題の繋がりは薄い。無理やり結び付け、共闘と煽ることが、個別の問題を「政治問題」に貶めていることに、ちっとも気がついていないのだ。
実際、地元名護市の「辺野古移設」反対派の面々に聞いてみても、
「基地と慰安婦を繋げられても、唐突としか言いようがありません。いったいどういうこと?」(さる市議)
「何か目的で来たんですかね。自分の主張を述べるため?」(別の市議)
と目を白黒。「日本の歪み」より、こうした「己の歪み」をはやく「再認識」してほしいものである。
「植村さんは昨春から韓国カトリック大学の客員教授を務めていますが……」
とは先のジャーナリスト。
「自らを”言論テロの被害者”と位置付け、昨年は年40件の講演、10件以上の大学の講義に呼ばれています。
今春以降も大学の契約が延長され、コマ数も増えた。言わば、慰安婦誤報で食っているワケですが、今度はこれに沖縄も加え、嘴を挟んでいずれ『生活の糧』にしていくのでしょう」
当の植村氏に聞くと、なぜか代理人が、
「植村氏のジャーナリストとしての基本は『人権と平和を守る』ということであり、今後もこの原則のもとに行動していく所存です」
とコメントするのだが、古巣の先輩に当たる「週刊朝日」元編集長の川村二郎氏が呆れて言う。
「もはや植村君は、ジャーナリストではなく、反体制活動家でしょう。これ以上、恥をさらさず静かにしていてもらいたいけれど、イデオロギーの眼鏡しかかけていないから、無理だろうねえ……」
まともな大人は決して近づいてはいけないのである。

拷問禁止委員会は国連の機関ではない — 2017年5月14日

拷問禁止委員会は国連の機関ではない

「日韓合意見直し」 勧告したのは国連の委員会でも国連の機関でもない
楊井人文 | 日本報道検証機構代表・弁護士
5/13(土) 23:05

【ファクトチェック】産経新聞は5月13日、「国連委員会が『慰安婦』日韓合意見直しを勧告 『補償や名誉回復は十分でない』 両政府に」と見出しをつけた記事をニュースサイトに掲載した。この勧告をした「拷問禁止委員会」は、国連総会で採択された拷問禁止条約に基づいて設置された委員会で、いわゆる人権条約機関の一つ。国連に属する機関ではなく、委員会の見解は国連から独立した専門家のものであって、国連を代表するものではない。

産経新聞は、同委員会が2015年12月に日韓政府間で達した慰安婦問題に関する合意について「元慰安婦は現在も生存者がおり、被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」と指摘し、日韓両国政府に「被害者の補償と名誉回復が行われるように尽力すべきだ」と強調した、と報じた。
この記事本文を注意深く読めば「国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会」と書いてあるが、見出しの「国連委員会」はあたかも国連内部の委員会で、その活動が国連を代表しているかのような誤解を与える可能性が高い。
実際、一部識者から 「国連が当事者の『合意』に口を挟むのも異例だ」「断固として国連に抗議しよう」といった誤解に基づく国連批判が出ている。
ほかにも読売新聞やNHKなど多くの主要メディアが「国連委員会」あるいは「国連の委員会」といった誤解を与える表現で報じている。

日韓合意をめぐっては、潘基文国連事務総長(当時)が「正しい勇断下した」と評価したほか、バングーラ事務総長特別代表が「画期的」だと称賛し、元慰安婦らの尊厳回復のため、早期履行を訴える声明を発表していた(共同通信2016年1月2日)。

過去にも「国連委」とミスリード報道
拷問禁止委員会(The Committee Against Torture、CAT)は、人権条約機関(Human Rights Treaty Bodies)の一つ。国連総会が1984年採択した拷問禁止条約(1987年発効)17条に基づいて設立され、10人の独立専門家で構成される。日本は1999年に条約に加入した。
このような国際人権条約機関は、人権条約の加盟国の履行状況を監視することを目的としている。他に人種差別撤廃委員会や女子差別撤廃委員会などがあり、国連から独立した専門家が調査を行い、勧告等の見解を出す。
これら委員会は国連に属する組織・機関ではないにもかかわらず、過去にも「国連委員会」と誤解を与える報道がなされたことがあった(例=産経新聞2016年4月27日)。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/20170513-00070917/

慰安婦財団、日本の拠出金を流用 — 2017年5月13日

慰安婦財団、日本の拠出金を流用

慰安婦財団、日本の拠出金を流用 韓国側が運営費カット
ソウル=東岡徹2017年5月11日23時25分

慰安婦問題の日韓合意に基づいて韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」が、厳しい状況に追い込まれている。今年度の運営費が国会審議で全額削減されたため、日本政府が財団に拠出した10億円の一部を充てざるを得ない事態に陥っている。財団の理事10人のうち2人が辞任し、財団の事業の推進力は失われつつある。

財団は昨年7月の設立。事務所の賃借料など運営にかかる費用は韓国政府が全額支出し、日本政府が拠出した10億円はすべて元慰安婦の支援事業などに使われることになっていた。

財団関係者によると、韓国政府は16年度、運営費として約1億5千万ウォン(約1500万円)を支出。17年度は約4億ウォン(約4千万円)を政府予算案に計上したが、朴槿恵(パククネ)前政権下で最大野党だった「共に民主党」が反発。国会審議で全額削減され、財団は「やむを得ず(日本からの)拠出金の一部を使うことになった」としている。

一方、財団は理事長を含めて10人の理事で構成されていたが、2人がすでに辞任した。財団関係者によると、日韓合意や財団に対する批判が高まったため辞任したという。理事の辞任によって財団の運営に直接の影響があるわけではないものの、文在寅(ムンジェイン)大統領は合意の再交渉が必要だとの考えを示しており、財団が事業を継続するのは難しくなるおそれもある。(ソウル=東岡徹)

https://web.archive.org/web/20170513123340/http://www.asahi.com/articles/ASK5C5K4BK5CUHBI01K.html

 

時事配信記事、ジャパンタイムズの翻訳「性奴隷」 — 2017年5月5日

時事配信記事、ジャパンタイムズの翻訳「性奴隷」

「慰安婦白書」、事実上断念=民間委託の報告書発刊-韓国

【ソウル時事】韓国女性家族省は3日、民間研究所に作成を委託した「日本軍『慰安婦』被害者問題に関する報告書」を刊行すると発表した。政府主導の「白書」の発刊は、事実上断念した。聯合ニュースなどによると、同省は、慰安婦問題の実態を内外に知らせるため「白書」作成を計画していたが、2015年12月の慰安婦問題をめぐる日韓政府間合意を受け、民間作成の報告書に変更したという。
9日投開票の大統領選に出馬している有力候補はいずれも、合意の再交渉や破棄を求めており、女性家族省の対応が批判にさらされる可能性もある。
報告書は慰安婦合意について、「法的賠償を合意文に明確な形で盛り込めなかった点は、交渉の最も根本的な限界」と指摘しながらも、「合意の核心は、日本政府が責任を公式に認定し、政府予算で『事実上の』賠償を実施すると約束したことだ」と評価した。
慰安婦を象徴する少女像の撤去問題に関しては、「本質的な合意が誠実に履行されたときに初めて検討される付随合意にすぎない」と解釈。「日本が10億円を拠出したからといって、像の移転に向けて圧力を加えようとする態度は合意の曲解で読み違いだ」と主張している。(2017/05/03-21:11)

http://www.webcitation.org/6qEP3oqGI

 

Korean white paper on ‘comfort women’ written by private-sector group
JIJI

SEOUL – The South Korean Ministry of Gender Equality and Family said the report it published Thursday documenting the abuses endured by the “comfort women” was compiled and written by a private-sector institute instead of the government.

According to South Korean media organizations, including Yonhap news agency, the ministry initially planned to produce the white paper to accurately document the issue of the Korean girls and women Japan forced to provide sex for Japanese troops before and during World War II, to better inform global and domestic audiences.

But the plan was changed after the December 2015 agreement signed by the Japanese and South Korean governments to “finally and irreversibly” resolve the issue of the sex slaves, which Japan euphemistically refers to as the comfort women, according to the media.

The ministry may come under fire because all of the candidates in the South Korean presidential election next Tuesday are calling for the agreement to be renegotiated or scrapped.

Under the accord, the Japanese government called the comfort women issue “a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women” and said that it is “painfully aware of responsibilities from this perspective.”

In accordance with the agreement, the Japanese government contributed ¥1 billion to a foundation set up by the South Korean government to support the dwindling survivors.

The report compiled by the private-sector institute said that the two governments’ failure to include legal compensation in the agreement in a clear way represented the most fundamental flaw in the accord.

Still, it said that the most important part of the agreement is that the Japanese government confirmed its responsibility and promised to effectively pay compensation to victims through the foundation.

https://web.archive.org/web/20170505111447/http://www.japantimes.co.jp/news/2017/05/04/national/politics-diplomacy/korean-white-paper-comfort-women-written-private-sector-group/#.WQxeuuWLTcs