>日本側は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」としており、「賠償」の色合いが強まる現金の一律支給には難色を示してきた。10億円の使途について岸田文雄外相が「医療や介護関係を想定している」と強調したのはこのためだ。

 

少女像移転見通せず 日本側「最大の懸案」

毎日新聞2016年8月12日

日韓両政府は12日、元慰安婦を支援するために韓国政府が先月設立した「和解・癒やし財団」の事業内容について大筋で合意し、昨年末の日韓合意に基づく支援事業は本格的に始動する。慰安婦を象徴する少女像の移転問題を「最大の懸案」と位置付ける日本側としては、10億円の早期拠出表明で韓国側の移転に向けた努力を促した形だ。
元慰安婦への賠償について、日本側は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」としており、「賠償」の色合いが強まる現金の一律支給には難色を示してきた。10億円の使途について岸田文雄外相が「医療や介護関係を想定している」と強調したのはこのためだ。
歴史認識の議論が活発化する15日の終戦記念日を前に日本側が大筋合意を急いだとの見方もあるが、岸田氏は「合意後に両国政府が努力した結果」と記者団に述べた。日本政府関係者は「財団が設立されたのに長い間、金が出ないとボールを持っているのはどっちとなる。テンポよくやっていくということだ」と解説した。
少女像の移転については岸田氏が電話協議で韓国側の努力を改めて求めたのに対し、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は「合意を誠実に実施していく」と述べるにとどめた。
移転のめどが立たない中での「見切り発車」とも言える早期拠出表明に踏み切った背景には、北朝鮮の核・ミサイル開発で東アジア情勢が厳しさを増す中、日韓の連携強化は不可欠との日本政府内の認識がある。外務省幹部は日米韓3カ国の協力を挙げ、「韓国が日本サイドに付いているのは決定的に重要だ」と話す。
一方、韓国政府は日本による10億円の早期拠出で日韓合意に対する韓国内の反発が和らぎ、財団の事業が進めやすくなることを期待している。合意に反対する韓国世論の中には、日本政府が求める少女像の撤去が10億円拠出の前提になることへの反発が強かった。
韓国政府は当初、少女像を設置した元慰安婦支援団体らの理解を得たうえで、ソウル市内の別の場所への移転を模索していた。
しかし、支援団体は合意そのものに強硬に反発。財団設立直前の先月27日も少女像周辺で1000人規模の反対集会を開き、財団設立の記者会見にも大学生らが乱入するなど反発が収まる気配はない。韓国政府関係者は「現時点での移転は現実的ではない」と語る。
韓国政府は生存する40人の元慰安婦やその家族の7〜8割程度が財団への参加の意思を示していることから、当事者の間で合意への支持が広がれば、少女像移転への道筋も開けると考えている模様だ。【前田洋平、ソウル米村耕一】

http://megalodon.jp/2016-0818-0822-43/archive.is/zdfKK#selection-1013.1-1073.107

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元慰安婦の医療・介護支援=日韓、10億円使途で合意

時事通信8月12日(金)20時55分
岸田文雄外相は12日、韓国の尹炳世外相と電話会談し、元慰安婦を支援するため日本側が拠出する10億円の使途について、医療や介護目的などとすることで合意した。岸田氏は「速やかに10億円を支出すべく、必要な手続きを進める」と伝達。昨年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意は、大きく前進した。一方、ソウルの日本大使館前の慰安婦少女像の移転については、韓国側が引き続き努力することを確認した。

10億円の使途が決まったことについて、岸田氏は電話会談後、記者団に「支出が完了すれば、合意に基づく日本側の責務は果たしたことになる」と語った。日本側は、月内の資金拠出を目指し調整を進めるとともに、少女像移転について、韓国に前向きな対応を促していく考えだ。

韓国外務省は「両外相は、一日も早い被害者の名誉と尊厳回復、心の傷の癒やしが実現することが重要だという点を再確認した」との声明を発表した。

元慰安婦への支援は、韓国側が7月に設立した「和解・癒やし財団」を通じて実施する。使途が特定されているものに限り、元慰安婦やその家族に一定額を支給する。現金での支給も想定している。

慰安婦問題は日韓間の長年の懸案だったが、昨年末に両国政府が「最終かつ不可逆的な解決」を目指すことで合意。日本側が撤去を要求している少女像について、韓国側は「関連団体との協議を通じて適切に解決されるよう努力する」こととなっているが、元慰安婦の支援団体が強く反対している。

http://megalodon.jp/2016-0812-2125-48/news.biglobe.ne.jp/domestic/0812/jj_160812_4630430275.html

https://web.archive.org/web/20160817231450/http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0812/jj_160812_4630430275.html