挺対協の過大評価? — 2018年7月31日

挺対協の過大評価?

挺対協は過大評価されていないか
澤田克己・外信部長

2018年7月28日 毎日

元従軍慰安婦を象徴する「平和の碑」。ソウルの日本大使館前に設置された2011年12月14日、筆者が撮影した
元従軍慰安婦を象徴する「平和の碑」。ソウルの日本大使館前に設置された2011年12月14日、筆者が撮影した
 韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)という団体があります。慰安婦問題で日本批判の急先鋒(せんぽう)となっている団体で、ソウルの日本大使館前に少女像を建てたことでも有名です。韓国世論に絶大な影響を与えるというイメージが強いのですが、本当にそうでしょうか。この団体の影響力は過大評価されているのかもしれない。そんな事象を見つけてしまいました。

 私は3年前までソウル特派員をしていました。ソウルで勤務したのは、1990年代末から通算で2回計8年半になります。2回目の勤務を終えて帰国した私が違和感を感じたのは、日本での慰安婦問題に対する関心の高さです。韓国世論が関心を持っていないとまでは言いませんが、関心の度合いは日本よりずっと低いというのが率直な印象です。

 韓国と日本を冷静に観察している人々の間では珍しくない感想なのですが、あくまでも体感です。しかも韓国の政府関係者や記者は「韓国世論の関心は日本より弱い」と言われると面白くないようで、私が意見交換の場などで指摘すると必死に反論してきます。たいていは感情論での反発にすぎないのですが、こちらも具体的な根拠が少なくて困っていました。

 そんなことを考えていた今年2月のことです。私は、挺対協が青瓦台(大統領府)のサイトに「国民請願」を出したという韓国紙・中央日報の記事を読みました(日本語版はこちら)。請願のタイトルは「文在寅(ムン・ジェイン)政権は、2015年韓日合意に対する政府の基本処理方針に従って和解癒やし財団を一日も早く解散し、10億円を返還しなければなりません」というものでした。

 賛同する電子署名が30日以内に20万集まれば、政府が何らかの返答をする仕組みだそうです。私が記事を読んだのは、請願が出てから3日目の夕方でした。関心を持った私は、青瓦台のサイトをチェックして驚きました。それまでに集まっていた署名が826人だけだったからです。はたして30日間で何人まで数字が伸びるのだろうか。私は次の日から毎朝、署名の数をチェックするようになりました。

 挺対協はその後、別の団体と組織統合して「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」と名称を変更しました。ただ請願を出した当時はまだ挺対協という名称でしたので、本稿では「挺対協」とします。

署名20万人超えは1年弱で50本
 国民請願というのは、文在寅政権が昨年8月に始めた試みです。韓国国民なら誰でも請願を提出することができ、青瓦台サイト上で電子署名集めが始まります。米ホワイトハウスが運用する類似の仕組みを参考にしたものですが、必要な署名数を10万人とするホワイトハウスより高めのハードルである20万人が必要とされます。青瓦台の担当者によると、米国では専用サイトに実名で登録しないと署名できないが、青瓦台サイトは外部のSNSアカウントを利用して署名する仕組みだからだそうです。そこまでする人が多いとは思わないものの、1人が複数アカウントを使って署名することも不可能ではない。だから必要な署名数を増やしたといいます。組織的な動員とみられる大量署名が短時間に集中することもあるので、その時には不正なアクセスがないか解析するということでした。

 開設から1年弱で、署名20万人を超えた請願は約50本。「盗撮に使われるカメラの販売禁止と盗撮に対する罰則強化」を求める請願が約21万人、「国会議員の給与を最低賃金水準に」が約27万人、「未成年者への性的暴行に対する罰則を強化し、終身刑に」が約23万人といった具合です。平昌冬季五輪のスピードスケート女子団体追い抜き(パシュート)でチームメートを置き去りにしたと非難された2人の選手の国家代表資格剥奪を求める請願への署名は61万人を超えました。

挺対協の請願に集まった署名は1919人
 さて挺対協の請願への署名はどう推移したでしょうか。5日目の朝にチェックすると、前日朝からの増加数は140人でした。その後、3月1日と2日に前日より200人超の増加を記録しましたが、24時間ごとの増加数が3ケタになったのは、その3回だけ。4日目までに800人を超えていますから最初の数日もそれなりの勢いはあったようですが、それにしても賛同が殺到したとは言えないでしょう。

 挺対協は毎週水曜日に日本大使館前で集会を開いています。署名受け付けの最終日を1週間後に控えた3月14日の集会では、請願の内容を紹介した後に「20万人集まれば、青瓦台が私たちの請願に応えてくれます。多くの人たちの参加をお願いします。21日まで1週間あります。その時までに20万人集まらなかったら終わりです。ここにいる多くの方たちが参加してくださるようお願いします」と呼びかけていました。ただ翌日朝にチェックすると、前日からの増加数は4人だけ。集会への参加者も100人弱でしたが、それにしても反応が鈍いのではないかと首をひねらざるをえませんでした。

 結局、署名は1919人で終わりました。それまでも集会への参加者数を見ていて挺対協の動員力低下を感じてはいましたが、この数字にはさすがに驚きました。私はその後、日韓両国の外交官や研究者に請願の説明をして「何人集まったと思うか」と聞くことを繰り返しているのですが、返ってくるのは自信なげに「5万人? 10万人?」という声が大部分。1万人以下だろうと考える人は皆無でした。

 これを見ると、私たちは現時点での挺対協の影響力を過大評価しているのかもしれません。挺対協は1990年代、韓国世論に対する絶大な影響力を発揮しました。ただ、よく考えてみると2000年代に入って以降、慰安婦問題はしばらく重要な外交問題とされずにいました。再び大きくクローズアップされるようになったのは、韓国の憲法裁判所が慰安婦問題解決のための外交努力を韓国政府が尽くしていないのは「違憲」だと判断し、挺対協が日本大使館前に少女像を建てた2011年からです。少女像を建てることで状況を大きく動かしたとは言えますが、その前の10年余りは、挺対協が熱心に活動を続ける一方で韓国世論の関心はいまひとつだったのです。そう考えると、請願への署名数がきわめて少なかったことも不思議とは言えないのかもしれません。

騒ぎになれば感情を刺激する構図は変わらず
 それでも請願の結果に驚いた私は、挺対協の尹美香(ユン・ミヒャン)常任代表(現在は正義連理事長)に「なぜ署名がこんなに少ないのか」と電話で疑問をぶつけてみました。返ってきた答えは「(請願を出したのが)平昌五輪の期間中だったので、静かにやろうということになった。請願を出したと報道されればいいということで、署名集めのための広報には力を入れなかった。水曜集会でも経過報告をしたくらい。北朝鮮の核問題もあったし」というものでした。この説明をどう受け止めるかは、人それぞれでしょう。

 それを聞いて私は、昨年夏に20代後半の韓国人記者と交わした会話を思い出しました。会社派遣の研修で日本に滞在していた彼は、ビアガーデンでジョッキを傾けながら「韓国の若者で慰安婦問題に関心を持っている人はとても少ない。だから時間が経てば外交的な問題ではなくなるはず」と言ったのです。酒席で出た本音なのでしょうが、日本に関心を持っているはずの記者がこの程度の認識というのは危うい。私は「韓国で一般的に関心を持たれていないのは確かだけれど、だから外交問題にならないということにはならないよ」と返しました。

 慰安婦問題はやはり、いったん騒ぎになれば感情を刺激しやすいからです。特に韓国では「いたいけな少女」が犠牲になったというイメージが定着しています。こうしたイメージが国民感情を強く刺激するのは、普遍的な現象です。

 この構図自体は今も変わりません。慰安婦問題にはこれからも慎重なアプローチが必要で、そうした姿勢は特に両国の政治家や政府関係者に求められます。その際に韓国世論の実像からかけ離れたイメージを抱いていては、正確な判断をすることができません。日本側が韓国世論の実情を誤解して過剰反応することで状況がさらに悪化する負のスパイラルに陥ってしまう危険すらあります。そんなことにならないよう、韓国の“平熱”がどのようなものかきちんと知っておくことが大切です。

https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20180727/pol/00m/010/004000d

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「韓日慰安婦合意、政府の明確な立場を要求」…挺身隊対策協が青瓦台に請願

2018年02月20日08時43分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

韓国挺身隊問題対策協議会(挺身隊対策協)と「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」が、朴槿恵(パク・クネ)政権当時の2015年韓日慰安婦合意について最近検証作業をした文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、10億円の処理方向などに関する政府の明確な立場表明を要求した。

挺身隊対策協と正義記憶財団は「外交論争により被害者と国民が政府に対して不信感を抱かないよう、韓国政府が明確な立場を表明して後続措置を取らなければいけない」とし、青瓦台国民請願を始めると19日、明らかにした。

これに先立ち16日、西村康稔官房副長官はあるテレビ番組で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が韓日首脳会談で慰安婦合意について『合意は破棄しない、再交渉もしない、和解・癒やし財団も解散しない、日本が拠出をした10億円も返還しない』と明言した」と述べた。

これに対し青瓦台(チョンワデ、大統領府)は17日、「事実と合わなかったり、お互い立場が違ってニュアンスの差がある」とし「我々は慰安婦合意でこの問題が解決されるのではないという政府の立場を説明したし、慰安婦被害者の名誉と尊厳、心の傷を癒やすために共に努力しなければいけないという点を明確にした」と釈明した。

昨年7月に康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の直属で設置された韓日慰安婦合意検討タスクフォース(TF、作業部会)は5カ月間にわたり検証作業をした結果、韓日慰安婦合意について政府は再交渉を推進しないことにしたと処理方向を明らかにした。

また、日本政府が被害者支援のための和解・癒やし財団に拠出した10億円は韓国政府の予算で充当するものの、基金の処理および和解・癒やし財団の今後の運営については後続措置を用意すると発表した。

https://web.archive.org/web/20180730213838/http://japanese.joins.com/article/802/238802.html

10億円は、韓国政府名義 — 2018年1月16日

10億円は、韓国政府名義

韓国、慰安婦で10億円拠出 再交渉求めず
日本政府に努力継続促す
朝鮮半島
2018/1/9 14:44

日経 https://web.archive.org/web/20180115222314/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25448820Z00C18A1000000/

 【ソウル=峯岸博】韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は9日の記者会見で、従軍慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意への韓国政府の新方針を発表した。合意は両国間の公式合意だったとして「日本政府に再交渉は求めない」と明言。そのうえで元慰安婦への名誉回復などに向けた日本側の努力の継続を促した。韓国政府が設立した元慰安婦支援の「和解・癒やし財団」に日本政府が拠出した10億円は韓国政府が全額負担するとした。

 発表文は5項目。(1)韓国政府はあらゆる努力を尽くす(2)財団の10億円は韓国政府予算で充当し、財団の扱いは日本政府と協議する(3)15年の日韓合意は真の問題解決にならない(4)合意は両国間の公式合意だった事実は否定できず、日本政府に再交渉は求めない(5)韓国政府は過去の歴史問題の解決と同時に、日韓両国間の未来志向的な協力のため努力する――となっている。

 韓国外務省の作業部会は昨年12月27日、日韓合意に関して「被害者の意見を十分聴かなかった」などと批判する検証結果を発表した。それを受け、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「この合意で問題を解決できない」と関係部署に対策を指示。年明けに自ら元慰安婦らを招き、直接謝罪した。一方で「前政権が公式的に合意したのも事実なので、両国関係の中で解決していかなければならず、容易でない面もある」と述べていた。

挺対協 「今や、合意の行き先はごみ箱だ」 — 2018年1月10日

挺対協 「今や、合意の行き先はごみ箱だ」

10億円、日本に返還を=「慰安婦合意はごみ箱へ」-韓国団体

 【ソウル時事】「10億円、直ちに(日本に)返還せよ」。日韓両政府間の慰安婦合意に反対している民間団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」などは10日、ソウルの日本大使館前の少女像脇で水曜恒例の抗議集会を開き、学生ら数百人が気勢を上げた。
 マイクを握って演壇に立った挺対協の尹美香常任代表は、韓国外務省作業部会による合意の検証結果発表で、「『不可逆的な謝罪』ではなく『不可逆的な解決』という日本側の主張をそのまま受け入れたことが分かった」と指摘。「少女像の撤去を裏合意に盛り込み、『挺対協が反対したら、説得する』という約束までしていた」と非難した。その上で、「今や、合意の行き先はごみ箱だ」と破棄を改めて主張した。(2018/01/10-16:09)

http://www.webcitation.org/6wMiuyHwA

10億円入金を確認 (9月1日) — 2016年9月29日

10億円入金を確認 (9月1日)

韓国、日本からの10億円入金を確認 元慰安婦の支援に
ソウル=牧野愛博2016年9月1日 朝日

 韓国外交省は1日、昨年末の日韓合意に基づき、韓国政府が元慰安婦を支援するために設立した「和解・癒やし財団」に対し、日本政府から10億円の入金があったことを確認した。

 日韓両政府によれば、事業の対象は昨年末の日韓合意の時点で韓国政府に登録された元慰安婦245人。

 名誉の回復や心の傷を癒やす事業として、合意時点の生存者46人に1人当たり約1億ウォン(約910万円)、死亡者199人の遺族らには同約2千万ウォンを現金で支給する。医療・介護、葬儀関係費、親族の奨学金などを想定している。

 一方、元慰安婦の支援団体は8月31日、ソウルの日本大使館近くで集会を開き、改めて日韓合意の無効を訴えた。(ソウル=牧野愛博)

http://megalodon.jp/2016-0902-0454-33/www.asahi.com/articles/ASJ80369MJ80UHBI00M.html

韓国、慰安婦財団への入金確認 日本政府拠出の10億円
2016.09.01 zakzak

 韓国外務省は1日、同国政府が設立した元従軍慰安婦支援のための「和解・癒やし財団」の銀行口座に、日本政府が拠出した10億円が振り込まれたことを確認した。慰安婦問題解決に関する昨年末の日韓合意に基づく拠出で、現金支給を柱とする元慰安婦への支援事業が本格化する。

 10億円を巡っては、岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相が8月12日の電話会談で早期拠出を確認。日本政府は同24日に拠出を閣議決定し、31日までに振り込み手続きを完了していた。

 財団は今後、元慰安婦のうち日韓合意が発表された昨年末の時点で存命だった46人を対象に1人当たり約1千万円を、故人199人については代理人に約200万円を上限にそれぞれ現金支給する事業に着手する。

 ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像について、日本政府の撤去要求に韓国政府がどう対応するかも課題となる。(共同)

https://web.archive.org/web/20160929004210/http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160901/frn1609011911009-n1.htm

日本の外務省はHPで動員の強制性を否定(聯合) — 2016年8月24日

日本の外務省はHPで動員の強制性を否定(聯合)

どうなる? 少女像移転問題=日本が10億円拠出決定

聯合日本語2016/08/24

【ソウル聯合ニュース】日本政府が24日の閣議で、旧日本軍の慰安婦被害者を支援するため韓国が設立した「和解・癒やし財団」への10億円拠出を決定した。

 これにより、慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意に基づき日本側が取るべき履行措置は最終段階に入った。拠出が完了すれば、少なくとも韓日の政府間においては「外交懸案」としての慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的な解決」に向かう。1991年に故金学順(キム・ハクスン)さんが慰安婦被害者として初めて証言に立ち、問題が表面化してから実に四半世紀がたった。

 韓日関係筋は、早ければ今月中にも日本政府が10億円を財団に入金すると見込んでおり、資金を得て財団の事業は本格化する見通しだ。

 韓国政府はひとまず歓迎の意を示している。政府関係者は聯合ニュースの取材に対し「財団事業を通じ、一日も早く慰安婦被害者の名誉と尊厳が回復され、心の傷が癒やされるよう努めたい」とコメントした。

 だが、10億円の拠出を機に、慰安婦の強制動員を否定しようとする日本政府の動きが本格化する懸念もある。

 日本の外務省は先ごろ、慰安婦動員の強制性を否定する自国外交官の発言を同省の英語版ホームページにも掲載し、韓国外交部報道官が「合意を損なう言動は慎むべき」などと指摘した。韓国政府は、日本側が責任を認め、謝罪と反省を表明することも、慰安婦問題の最終解決に向けた日本側の責務と認識している。

 韓日間では今後、ソウルの日本大使館前に置かれた慰安婦被害者を象徴する少女像の移転をめぐり、あつれきが深まる可能性もある。

 韓日合意では、少女像問題については韓国政府が「適切に解決されるよう努力する」となっており、日本側は移転を求め韓国への圧力を強めてくると見込まれる。自民党内では、日本大使館前の少女像の移転を10億円拠出の前提条件とすべきだとの声も少なくなかった。

 だが韓国政府は、少女像は民間団体が設置したものであり、韓国政府がああしろ、こうしろと言える問題ではないとのスタンスだ。韓国国内では慰安婦合意に対する反対の声が依然として強く、韓国政府は世論と日本政府の要求の間で難しいかじ取りを迫られそうだ。

 韓国外交部傘下・国立外交院のチョ・ヤンヒョン副教授は聯合ニュースの取材に対し、「日本が少女像の移転を要求すればするほど韓国は移転が難しくなるというジレンマを、日本政府もよく知っているはずだ」と指摘。その上で「被害者の間で韓日合意に対するコンセンサスを形成していけば、少女像を別の場所に移すことも不可能ではないだろう」と話した。

 また、民間シンクタンク・世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)所長は「移転はすぐには難しいが、被害者追悼施設設置などの事業を推進していく中で自然に議論になるかもしれない」と述べた。

http://peeep.us/089b7b4b
http://archive.is/Imazv

10億円の使途、決定先送りも医療等に限定 — 2016年8月19日

10億円の使途、決定先送りも医療等に限定

10億円の使途、決定先送り=元慰安婦の支援財団-韓国

日韓政府間合意に基づき元慰安婦の支援を行う韓国の「和解・癒やし財団」の金兌玄理事長は18日、時事通信の取材に対し、前日に理事会を開いたものの、日本が拠出する10億円の具体的な使途については決定を先送りしたことを明らかにした。金理事長は「支援方法をめぐりたくさんの意見が出たが、事業の具体的内容については決まらなかった」と述べた。
ただ、金理事長は「支援策としては医療・介護関連が想定されている」と説明し、大枠の方向性に関しては合意が得られているという認識を示した。
韓国外務省当局者も18日、記者団に「10億円の具体的な使途や財団の事業に関しては、まだ決まっていない」と語った。理事会関係者は「1回の理事会で決められることではない。改めて開き、論議していく」と述べた。
岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相は12日の電話会談で、10億円の使途に関し、医療や介護目的などとすることで合意した。岸田外相は「速やかな拠出」を表明しているが、具体的な事業内容を詰めるまでには、なお時間がかかりそうだ。(2016/08/18 時事

10億円使途「医療・介護」で合意 — 2016年8月18日

10億円使途「医療・介護」で合意

>日本側は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」としており、「賠償」の色合いが強まる現金の一律支給には難色を示してきた。10億円の使途について岸田文雄外相が「医療や介護関係を想定している」と強調したのはこのためだ。

 

少女像移転見通せず 日本側「最大の懸案」

毎日新聞2016年8月12日

日韓両政府は12日、元慰安婦を支援するために韓国政府が先月設立した「和解・癒やし財団」の事業内容について大筋で合意し、昨年末の日韓合意に基づく支援事業は本格的に始動する。慰安婦を象徴する少女像の移転問題を「最大の懸案」と位置付ける日本側としては、10億円の早期拠出表明で韓国側の移転に向けた努力を促した形だ。
元慰安婦への賠償について、日本側は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」としており、「賠償」の色合いが強まる現金の一律支給には難色を示してきた。10億円の使途について岸田文雄外相が「医療や介護関係を想定している」と強調したのはこのためだ。
歴史認識の議論が活発化する15日の終戦記念日を前に日本側が大筋合意を急いだとの見方もあるが、岸田氏は「合意後に両国政府が努力した結果」と記者団に述べた。日本政府関係者は「財団が設立されたのに長い間、金が出ないとボールを持っているのはどっちとなる。テンポよくやっていくということだ」と解説した。
少女像の移転については岸田氏が電話協議で韓国側の努力を改めて求めたのに対し、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は「合意を誠実に実施していく」と述べるにとどめた。
移転のめどが立たない中での「見切り発車」とも言える早期拠出表明に踏み切った背景には、北朝鮮の核・ミサイル開発で東アジア情勢が厳しさを増す中、日韓の連携強化は不可欠との日本政府内の認識がある。外務省幹部は日米韓3カ国の協力を挙げ、「韓国が日本サイドに付いているのは決定的に重要だ」と話す。
一方、韓国政府は日本による10億円の早期拠出で日韓合意に対する韓国内の反発が和らぎ、財団の事業が進めやすくなることを期待している。合意に反対する韓国世論の中には、日本政府が求める少女像の撤去が10億円拠出の前提になることへの反発が強かった。
韓国政府は当初、少女像を設置した元慰安婦支援団体らの理解を得たうえで、ソウル市内の別の場所への移転を模索していた。
しかし、支援団体は合意そのものに強硬に反発。財団設立直前の先月27日も少女像周辺で1000人規模の反対集会を開き、財団設立の記者会見にも大学生らが乱入するなど反発が収まる気配はない。韓国政府関係者は「現時点での移転は現実的ではない」と語る。
韓国政府は生存する40人の元慰安婦やその家族の7〜8割程度が財団への参加の意思を示していることから、当事者の間で合意への支持が広がれば、少女像移転への道筋も開けると考えている模様だ。【前田洋平、ソウル米村耕一】

http://megalodon.jp/2016-0818-0822-43/archive.is/zdfKK#selection-1013.1-1073.107

http://archive.is/zdfKK

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元慰安婦の医療・介護支援=日韓、10億円使途で合意

時事通信8月12日(金)20時55分
岸田文雄外相は12日、韓国の尹炳世外相と電話会談し、元慰安婦を支援するため日本側が拠出する10億円の使途について、医療や介護目的などとすることで合意した。岸田氏は「速やかに10億円を支出すべく、必要な手続きを進める」と伝達。昨年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意は、大きく前進した。一方、ソウルの日本大使館前の慰安婦少女像の移転については、韓国側が引き続き努力することを確認した。

10億円の使途が決まったことについて、岸田氏は電話会談後、記者団に「支出が完了すれば、合意に基づく日本側の責務は果たしたことになる」と語った。日本側は、月内の資金拠出を目指し調整を進めるとともに、少女像移転について、韓国に前向きな対応を促していく考えだ。

韓国外務省は「両外相は、一日も早い被害者の名誉と尊厳回復、心の傷の癒やしが実現することが重要だという点を再確認した」との声明を発表した。

元慰安婦への支援は、韓国側が7月に設立した「和解・癒やし財団」を通じて実施する。使途が特定されているものに限り、元慰安婦やその家族に一定額を支給する。現金での支給も想定している。

慰安婦問題は日韓間の長年の懸案だったが、昨年末に両国政府が「最終かつ不可逆的な解決」を目指すことで合意。日本側が撤去を要求している少女像について、韓国側は「関連団体との協議を通じて適切に解決されるよう努力する」こととなっているが、元慰安婦の支援団体が強く反対している。

http://megalodon.jp/2016-0812-2125-48/news.biglobe.ne.jp/domestic/0812/jj_160812_4630430275.html

https://web.archive.org/web/20160817231450/http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0812/jj_160812_4630430275.html

財団理事長「10億円は実質的に賠償」 —

財団理事長「10億円は実質的に賠償」

金理事長「日本の10億円は実質的に賠償」

毎日新聞2016年8月13日

【ソウル米村耕一】慰安婦問題に関する昨年末の日韓合意に基づき韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」の事業内容で、日韓両政府が大筋合意したことに関連し、財団の金兌玄(キム・テヒョン)理事長は13日、毎日新聞の取材に「日本側が拠出する10億円は実質的には賠償の性格を持つものだ」と自身の認識を改めて説明した。

日本側は「賠償ではない」との立場を繰り返し説明しており、こうした認識の違いは財団の事業内容を具体化する過程で再び問題となる可能性がありそうだ。

金理事長は「賠償の性格を持つ」と解釈する理由として「10億円は安倍晋三首相が慰安婦問題について、日本軍の関与と責任を認め、謝罪と反省を表明し、その意味において政府予算から拠出するものだ」と説明した。

日本側は、元慰安婦を含む個人に対する賠償について1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」としている。一方で韓国政府は2005年以降、従軍慰安婦とサハリン残留韓国人、韓国人被爆者については「協定の適用対象外」と主張。韓国政府関係者は「原則的立場が違う中で一緒にやっていかなくてはならない問題だ。日本側は自国の立場で説明するだろうが、それはわれわれも同様だ」と語っている。

財団準備委員長「日本、犯罪と認めた」 — 2016年8月2日

財団準備委員長「日本、犯罪と認めた」

韓慰安婦財団準備委員長「日本、犯罪と認めた」
16/06/01 21:59

【ソウル共同】旧日本軍慰安婦問題と関連、昨年末日韓•合意に基づいて日本が出演する10億円(約109億ウォン)で設立する予定の財団の設立準備委員会委員長に就任したキム・テヒョン誠信(ソンシン)女子大学校名誉教授は1日、 財団が活動の中心に置くのを想定した寄付金は日本が「(慰安婦動員を)国家の犯罪だと認めたため」に日本政府が支払うものだと話した。

韓国のラジオ・インタビューでこのように話したと聯合ニュースが報じた。

キム・テヒョン教授は5月31日記者会見で日本の出資金を根拠に財団が被害者を支援することが想定された現金支給は「癒しのお金であって賠償金ではないと考えている」と発言、韓国メディアから日本の責任を追及するのではないかとの批判を受けた。 ラジオでした発言は前日の発言と大きく違いが生じて批判を避けようと軌道修正を企てたと見られる。

合意で日本政府は「慰安婦問題は軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深い傷つけたという問題で責任を痛感する」と表明。元慰安婦女性の『名誉と尊厳回復、心の傷を治癒するための事業』を施行する韓国財団に資金を出演することを定めた。

共同ハングル
https://web.archive.org/web/20160801212927/http://www.47news.jp/korean/korean_peninsula/2016/06/139347.html
http://megalodon.jp/2016-0802-0629-25/www.47news.jp/korean/korean_peninsula/2016/06/139347.html

韓 위안부 재단 준비위원장 “日, 범죄라 인정했다”
16/06/01 21:59

【서울 교도】구 일본군 위안부 문제와 관련, 작년 말 일•한 합의에 근거해 일본이 출연하는 10억 엔(약 109억 원)으로 설립할 예정인 재단의 설립준비위원회 위원장에 취임한 김태현 성신여자대학교 명예교수는 1일, 재단이 활동의 중심에 두는 것을 상정한 기부금은 일본이 “(위안부 동원을) 국가의 범죄라고 인정했기 때문”에 일본 정부가 지불하는 것이라고 말했다.

한국 라디오 인터뷰에서 이같이 말했다고 연합뉴스가 보도했다.

김태현 교수는 5월 31일 기자회견에서 일본의 출연금을 근거로 재단이 피해자를 지원하는 것이 상정된 현금 지급은 “치유금이지 배상금은 아니라고 생각한다”고 발언, 한국 언론으로부터 일본의 책임을 추궁하지 않느냐는 비판을 받았다. 라디오에서 한 발언은 전날의 발언과 크게 차이가 나며 비판을 피하고자 궤도 수정을 도모한 것으로 보인다.

합의에서 일본 정부는 “위안부 문제는 군의 관여하에 다수 여성의 명예와 존엄을 깊은 상처를 입혔다는 문제에서 책임을 통감한다”고 표명. 전 위안부 여성의 “명예와 존엄 회복, 마음의 상처를 치유하기 위한 사업”을 시행하는 한국 재단에 자금을 출연할 것을 정했다.