慰安婦財団
心の傷いやすこと一番大事…韓国元外交通商相

毎日新聞2016年6月7日 

 元慰安婦支援のための「和解・癒やし財団」(仮称)設立に向けた課題などについて7日、毎日新聞の取材に応じた韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交通商相の主な発言は次のとおり。

−−財団の名称の意味は。

 ◆日韓政府間の合意では、元慰安婦の方々の心の傷を癒やすことが一番大事だ。癒やしがあって(日韓が)和解する。財団の目標を名前ではっきりさせた。

 −−女性問題専門家の金兌玄(キム・テヒョン)・誠信女子大名誉教授が設立準備委員会の委員長となった。

 ◆金委員長が財団設立後は理事長になるはずだ。財団が正式に出発する前にも委員長という肩書で元慰安婦の方々に会い、気持ちを聞いて、それを財団の活動の参考にする形になればいい。

 −−理事の構成は?

 ◆今、気にしているのは元慰安婦を支援する市民団体、挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)を含む団体からも理事を派遣してもらったほうが良いということ。私は準備委員会までで辞めるつもりなので、残り5人の枠がある。

 −−今後の日程は?

◆準備委員会を2、3回は開く必要がある。(財団設立は)7月末よりも前にはできるのではないか。

 −−財団の事業はどういうイメージか。

 ◆慰安婦被害者は238人登録され、生存者は42人だ。あらためて本人や家族から事情や要望を聞く。現金を払うこともできるし、家賃などを用意することもあるだろう。個人のニーズに合わせて活動する。

 −−挺対協を含め、まだ反対が強い。

 ◆重要なのは被害者の立場だ。皆さんが財団に参加すれば一番良い。それができなくても、少なくとも3分の2以上が参加すれば、挺対協などの団体とも折衝できると思う。

 −−日本大使館前の少女像はどうなるか。

 ◆大使館の安全と尊厳を守る義務は受け入れ国にある。ただ、無理やり撤去するのは良くない。財団が発足し、元慰安婦の方々が参加して心の傷を癒やし、残っている問題が少女像ということになれば、どうすれば良いかという話は自然に出てくる。

 (急ぎすぎて)「少女像を撤去するために(日本が)10億円を出した」と誤解されれば、韓国国内で非常に感情的な問題になる。だから、韓国政府に任せておくのが一番良い。日本側の気持ちはよく分かっており、韓国政府も大きな負担を感じている。

 −−日韓の安保協力の基礎となる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結についてどう考えるか。

 ◆個人の考えでは、できるだけ早めにやるべきだ。慰安婦問題での合意が履行され、雰囲気が良くなれば可能だと思う。【聞き手・ソウル米村耕一、大貫智子】

http://mainichi.jp/articles/20160608/k00/00m/030/089000c