和田氏「慰安婦は植民地時代に行われた最も残酷なこと」

和田春樹東京大学名誉教授インタビュー
「期限はあと5年、元慰安婦が生存中に解決を」
「この問題が解決できなければ韓日の確執も消えない」
「安倍首相、慰安婦否定してきたが首相として解決に乗り出すべき」

「従軍慰安婦問題を解決せずに韓日の歴史認識問題を解決できるだろうかと考えると、やはり『できない』と答えざるを得ない。問題は、今の日本社会が岐路に立っているということ。『日本が何をしてもどうせ韓国は受け入れない。だから、何もしない」という道と、『それでも何かする』という道の間に立っているのだ」

13日、東京都内でインタビューした和田春樹東京大学名誉教授(77)は「特に政治家や官僚の中には前者が増え続けている」と言った。和田氏は韓国史を専攻した歴史学者としての立場から日本政府の右傾化を批判してきた。1995年には元慰安婦に対する補償のため発足した「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」の発起人兼事務局長を務めた。この団体は民間の基金として発足したが、「村山談話」を発表した村山富市首相=当時=が理事長を務めた。元慰安婦たちに日本国民からの寄付金を渡そうとしたが、多くの元慰安婦たちが「日本政府の正式賠償でない」ことを理由に拒否した。和田氏は太平洋時代委員会の招待で訪韓、16日に「韓日親善の世界史的意義」をテーマに成均館大学で講演を行う。

-韓日関係が悪化した原因はどこにあると思いますか。

「安倍首相は政権を取った後、慰安婦問題の過ちを認めた『河野談話』や、植民地支配の間違いを謝罪した『村山談話』を見直すと明らかにした。これに韓国が強く反発すると、ひとまず村山談話は継承することにしたが、河野談話はなかなか認めようとしなかった。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は苦心の末、『慰安婦問題が解決しなければ首脳会談をしない』という切り札を使った。安倍首相はこれに応じず、確執局面に入った。その後、安倍首相は河野談話を継承すると述べたが、朴大統領が望む次の段階にもう一歩踏み出そうとはしていない」

-安倍首相は慰安婦連行に「強制性」があったかどうかに特にこだわっています。

「慰安婦問題が台頭した初期に、韓国で『(日本の軍警が韓国人女性を)奴隷狩りをするかのように連れ去った』などの主張が広まった。こうした主張は明らかに事実と異なる部分がある。日本の右翼傾向がある一部の学者は(そうした初期の間違いを口実に)『銃刀を使って連行した証拠はない』と主張した。さらに、『慰安婦は売春婦だ』という主張も広まっている。安倍首相もこうした論理の影響を受けているようだ。多くの研究を見ると、元慰安婦のほとんどは旧日本軍の委託を受けた業者にさまざまな手段で連行された。これら業者は女性たちを旧日本軍所有の船舶に乗せ、中国や東南アジアの慰安所に連れて行った。慰安所で強制されて生活していたという点は認めなければならない」

-慰安婦問題をいつ、どのようにして知りましたか。

「1950年代の在日韓国人小説家・金達寿(キム・ダルス)=1919-97年=が書いた『玄界灘』という小説を読んだ。そこに慰安婦の話が出てくる。この問題こそ植民地時代に行われた『最も残酷なこと』だと思っていた。だが、その時は証言もなく、きちんと研究する人も少なかった。91年の金学順(キム・ハクスン)さんの証言がすべてを変えた。その証言がきっかけで93年に日本政府が慰安婦問題を認める河野談話を出した。続いて95年の村山談話で慰安婦問題の原因となった植民地支配を謝罪した。知識人たちが政治家や官僚を説得してアジア女性基金を作った」

-しかし、今は韓国でむしろ反発を買っています。

「当時、日本政界の3分の1は『国の名義で植民地時代を反省してはならない』と考えていた。若い政治家たちのリーダーだった安倍首相もその1人だった。大蔵省=当時=も反対した。基金側関係者は『何かしなければ。不十分な措置だとしてもひとまず始めよう』と言った。日本国民の募金を『償い金』名目で日本の首相の謝罪の手紙を添えて元慰安婦に渡すことにした。これが韓国をかえって激怒させた。多くの元慰安婦が『日本政府の正式な謝罪でないなら、こんな金はいらない』と言った。韓国では『アジア女性基金は結局、元慰安婦をだまそうという策略に過ぎなかった』と批判の声が上がった。だが、決してそうではなかった。限られた条件の下で心から努力した。ただ限界があった。振り返ってみると、慰安婦問題を解く『きっかけ』だったと思う。それを逃した。私の責任も大きい」

-慰安婦問題は今後、どのような展開になるでしょうか。

「存在が行動を決定する。安倍首相は個人的な信条から慰安婦問題を認めたくなかっただろうが、首相だから最終的に河野談話と村山談話を継承すると述べた。日本の首相は韓日関係を好転させる方向へと動かなければならない立場にある。事実、安倍首相は慰安婦問題を20年間否定しているが、それほど長くかかわってきたため、今の日本の政治家の中で安倍首相ほどこの問題をよく知っている人もいない。ある意味ではほぼ『プロフェッショナル』と言えるだろう。そのような人が考え方を変えて『慰安婦問題を解決しよう』と言えば、右翼も異議を唱えられない。安倍首相は北東アジア初の女性大統領である朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と共にこの問題を解決しなければならない。残された時間はあと5年ほどだ」

-なぜ5年ですか?

「この5年間で元慰安婦は10人以上亡くなった。今後5年以内にもそれと同じくらいの方々が亡くなるだろう。『もういい、納得した』と言えるのは当事者しかいない。元慰安婦たちが全員亡くなってしまったら、関係のない人ばかりで話し合うことになる。そうなってしまったら政争になり、解決とは程遠くなってしまう」

朝鮮日報日本語版

2015.4.15

http://megalodon.jp/2015-0418-0540-25/www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/15/2015041501543.html

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http://megalodon.jp/2015-0418-0542-38/www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/15/2015041501543_3.html

https://web.archive.org/web/20150415202722/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/15/2015041501543.html

https://web.archive.org/web/20150415202956/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/15/2015041501543_2.html

https://web.archive.org/web/20150417204137/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/15/2015041501543_3.html