米大統領、元慰安婦を抱擁=歴史問題クローズアップ-韓国
【ソウル時事】韓国の文在寅大統領は7日、国賓として訪韓したトランプ米大統領の歓迎夕食会に、元慰安婦の李容洙さんを招待した。韓国メディアによると、トランプ氏は文大統領と共に会場で李さんを出迎え、あいさつを交わし、握手したり抱き合ったりした。
「独島エビ」登場=トランプ氏夕食会に
李さんは慰安婦問題をめぐる日韓政府間合意の撤回を求め、積極的に発言している。合意に批判的立場を取る文大統領としては、慰安婦など歴史問題の存在をクローズアップさせ、米政府の合意への支持切り崩しを図る狙いもありそうだ。
李さんは、米議会で証言するため英語を学ぶ元慰安婦を主人公にした韓国映画「アイ・キャン・スピーク」のモデルとされている。韓国大統領府当局者は「トランプ大統領が訪問した日韓には慰安婦など歴史問題もある」と招待の理由を説明した。
李さんは2007年2月、米下院小委員会で慰安婦の実態について証言するなど活発に活動。15年4月、安倍晋三首相が米議会で演説した際には、議事堂で傍聴した。15年12月末に発表された日韓合意については「公式謝罪と法的賠償を欠いている」と批判し、受け入れを拒否している。
文大統領は未来志向の日韓関係を目指す方針を打ち出しながらも、慰安婦合意に対しては「韓国国民の大多数は情緒的に受け入れられない」「元慰安婦の同意を得なければならないのに、その過程が欠けていた」と不満を表明。今年8月15日の日本の植民地支配からの解放記念日、光復節の演説にも、李さんら元慰安婦を招いている。
慰安婦問題では、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「世界の記憶」(世界記憶遺産)への慰安婦関連資料の登録判断を先送りしたばかり。元慰安婦支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」は「韓国外交が弱体化したためだ」と文政権批判を強めており、文大統領は、慰安婦問題に積極的に取り組む姿勢をアピールする必要に迫られている。(2017/11/07-23:23)
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