日韓首脳会談:3年半ぶり…慰安婦問題以外の成果模索
毎日新聞 2015年10月17日

安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領による初めての首脳会談が、11月1日にソウルで開かれる予定の日中韓首脳会談に合わせ、開催される見通しとなった。訪米中の朴大統領が15日、ワシントンでの講演で開催に強い意欲を示した。安倍首相も16日の河村建夫元官房長官との会談で、日中韓首脳会談を機に「日中も日韓も必ずやる」と述べ、朴氏や中国の李克強首相との会談実施を明言した。日韓首脳会談は2012年5月以来、約3年半ぶり。

日韓首脳会談は、無条件での開催を求める日本側に対し、朴大統領が旧日本軍の従軍慰安婦問題解決を事実上の前提条件に掲げ、実現してこなかった。しかし、日韓関係改善を強く望む米側の意向や、韓国が中国に接近しているとする「中国傾斜論」を払拭(ふっしょく)すべきだとの世論の高まりなどから、朴氏は慰安婦問題に大きな進展がない中でも会談開催の意向を固めた模様だ。

ただ、朴氏は慰安婦問題について「被害者のおばあさんたちのハン(恨み)を取り除き、わが国の国民が非常に大きな関心を持っているこの問題でも一定の進展があるなら、意味のある会談になりうる」と指摘。安倍首相に対し、慰安婦問題での前向きな取り組みを改めて求めた。

日韓首脳会談が実現する見通しとなったことについて、日本側は歓迎している。ただ、朴大統領の慰安婦問題に関する発言については「会談を有意義なものにするには、一切話題にしないことだ」(外務省幹部)と反発している。

日韓両政府は昨年4月から外務省の局長級で慰安婦問題を協議してきたが、日本側は譲歩する余地はないとの見解を繰り返し示しており、事態打開の見通しは立っていない。政府関係者は「ただ会ってあいさつするだけでは意味がない」とも指摘しており、慰安婦問題以外で歩み寄れる成果を模索しているようだ。【小田中大、ソウル大貫智子】

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